ノマドの衝撃

 先日、ついにアカデミー賞3部門受賞の「ノマドランド」を観ました!先に小説を読もうかと思いましたが、我慢できなかったです。そして、感動とはなんだか違う衝撃を受けてしまいました。

 近頃、「ノマド」という言葉を耳にするようになりましたね。ノマドワーカーとは、カフェやレンタルオフィス、時には屋外などの好きな場所から、パソコン、スマホを駆使し、自由な働き方をする人のこと。比較的若年層のお洒落な人達がやっている、新しい優雅な働き方だと思っていました。

 しかし、映画「ノマドランド」は、考えていたノマドではありませんでした。そうです、ノマド違いです( ゚Д゚) 原作はノンフィクション小説「ノマド 漂流する高齢労働者たち」ですから。

 え、漂流する高齢労働者だと?イメージしていた自由でお洒落なノマドワーカーとは別ものではないか!そこで、アラフィフ世代の私は一気に興味を持ってしまったわけです(笑)

 主人公の60代女性はリーマンショック後に住む家を失い、車上生活者になります。夫も亡くなり、子供もいない身の上。年齢的に再就職は厳しく、季節労働者として生計を立てるより仕方ありません。家や家族に縛られない自由・気ままさもあるけど、老いた体で日銭を稼ぐ現実の厳しさと日々向き合いながら生きていくというお話です。

 車社会のアメリカだから、ハウスレスで、車移動の放浪生活が続けられるのだと感じましたが、日本でも車上生活者は増えていると以前にニュースで見たことを思い出しました。その数は、コロナ禍でさらに増加しているかもしれません。

 寿命が延びたら、その分、長く働き続けなければいけない。本当、悩みは尽きないですね。

 ノマドな暮らしは他人事ではなく、非正規雇用の自分たちが、数年後に直面する問題。厳しい未来予想図を前に少々落ち込んでしまいました。

 しかし、同時に「ノマドランド」は、高齢労働者の逞しい生き方も教えてくれました!喪失感を抱えていても、自由があるから、惨めでもなくて。

 人間だけど、まるで一匹の野生動物のように、それぞれの老人が独立して生きている姿には、気高さと力強さも感じました。

 自分の生活も見直そうかな、鑑賞できて良かったです。

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