自死について思うこと

 昨年暮れですが、ある自死のニュースを聞いて重たい気持ちになりました。事故現場がわりと近くだったこともあって、しばらく心に引っ掛かっていました。今日思いだしたように自死の話をするのは、気分がスッキリしていて暗い方に引っぱられないと思えたからです。

 

 人の気持ちはころころと変わり続けます。死などまったく遠くにあってお呼びでない時もあれば、絶望感からちらつく時もあるため、正直に自分の心を認めてあげることが大事だと思います。辛い気持ちをちっぽけなプライドで覆いかぶせたりしないこと、まず隠さずに表出させることをしないと何の手当もできませんからね。

 それから話は少し変わりますが、希死念慮強めの私が「できるだけ自死はしない」と思えるきっかけになったのは、あの『リング』を書いた鈴木光司さんの著書『樹海』という本を読んだからです。ちょっとだけ内容をお伝えしますと、主人公は希望どおり樹海で自殺に成功しますが、死後に魂が木にべったりとへばりつき、成仏できず同じ場所にひたすら留まり続けます。ずっと同じ景色を見続けるしかなく、辛くて死にたくても、もう肉体がないので逃げるすべがない…

 どうですか?想像しただけで地獄でしょ。生きるのが嫌で死んだのに、これじゃ永遠の命をいただいたのと同じですよね。嫌すぎる、、という率直な感想から、自死はせずに自然に寿命を迎えたいと思ったわけです。

 一冊の本との出会いが心の支えになり、辛いことがあっても木になるよりましと思いながら現在は過ごせています。しかし実際に自死を選択する人は今が耐えられないからそうするわけで、滅多なことも言えません。この本に興味を持たれた方はぜひ読んでみてください。思考が暗い方に行きそうな時に留まらせてくれるきっかけになればと思います。

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