ホントニアッタコワイ話1

(はじめに)タイトルが某有名番組と被らないようにカタカナ表記にしてみました。見辛くなっただけですね。何回かに分けて私が体験したいくつかのコワイ話をしていきます。脚色なしであったことをそのまま語りますので、少しでも涼しくなっていただければ幸いです。

第1話:這いまわる日本人形

 引っ越しして一年ほど過ぎたある夜のことだった。ふと目が覚めると、暗闇の中でいつもの天井が見える。今何時なのか枕元の時計を確認しようとしたが、なぜか首が回らず体を動かせない。ベッドは部屋の左壁に寄せてあり、意識では体を右側に倒してなんとか起き上がろうとするがやっぱり出来ない。仕方ないのでそのまま天井を見つめていると、暗闇に目が慣れてきたのか、右の方角に白く丸い火災報知器が見えた。

 なにしろド近眼なので、景色がぼうっとしている。そして白い丸い物体がなんだか膨らんできたかと思うと、天井をゆっくりと動き始めた。びっくりして凝視していると、それは火災報知器ではなく人形の白い顔に見えてきた。

 なんと天井にぴったりと人形が貼り付いているではないか。着物や帯を身に付けた日本人形のようだ。それはほふく前進をするように天井を這いずり回り、しかし首だけは折れたように後ろに倒れ、白い顔をこちらに向けているのだった。

「うわぁぁぁーーーあぁぁぁー」自分でもびっくりするような大きな悲鳴を上げた。すると人形はゴキブリのようにぴたりと動きを止め、姿は天井に吸収されるように消え、顔は白い元の火災報知器へと戻っていった。それから恐怖の緊張がとけたのかいつの間にか眠ってしまった。

 昨夜の叫び声が隣の住人に聞こえてなければいいと思いながら、はて自分は本当に悲鳴を上げたのだろうか?あれはすごくリアルな夢ではなかったのか?とも思った。

 それから5年が経ち人形は現れることはなく、今も同じ部屋に住んでいる。霊現象なのか、実は脳の病気でありもしない幻視を見たのかどうかわからない。どちらがコワイかと言えば、現実的には病気の方にちがいないが。 

 

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